トラック運送業の新規顧問先を支援
こんにちは。Co.Co.Labo経営・社労士事務所の阿久澤です。
当事務所でトラック運送業の顧問先企を支援することになりました。
業界別労務管理は当方の得意とするところですが、「トラック運送業」はとりわけ、
労務管理が複雑な業界の一つです。
[①どうしてトラック運送業の労務管理は複雑なの?]
トラック運送業の労務管理は一般的な業種に比較して非常に分かりにくいです。
その理由は、「拘束時間」の規制が告示により設定されていることです。
告示というのは法律そのものでは無く、厚生労働大臣が必要に応じて定める省令をいいます。
厳しい事に労基署では、告示に違反すると是正勧告書を交付してきますので、必ず告示を守る必要があります。
また労基署で違反を指摘されると、違反情報が国交省にも通知されるので、違反内容によっては、
業務停止等になってしまうので告示の内容を正確に理解する必要があります。
[②拘束時間の規制を正しく理解する]
告示では「拘束時間」を規制しています。拘束時間とは、「休憩時間」を含む時間です。
即ち「始業時刻」から「終業時刻」までの全ての時間数を指します。
拘束時間=終業時刻-始業時刻 ※休憩を含む
[③告示は「拘束時間」を規制している]
拘束時間は原則として「1か月で293時間以内」とする必要があります。
尚、労使協定書を締結した場合には1年のうち「6カ月」までは「320時間以内」で延長が可能です。
労使協定書は、36協定書ではありませんが、36協定書と一緒に締結されることが多いようです。
労基署では必ず、36協定書とあわせてチェックをします。
要するに「拘束時間」が「1日」・「1か月」・「1年間」で告示で規制をされています。
1日は原則として「13時間以内」・「1か月293時間以内」です。
拘束時間は「原則13時間」ですが15時間を超える拘束時間は1週間に2日までは可能です。
即ち、次に説明する「休息時間が11時間未満」になる日の限度も1週間で2日までとなります。
[告示は「休息時間」を更に規制している]
休息時間とは、終業時間から次の始業時刻までの時間の事で、睡眠時間を含めた全く自由な時間です。休息時間は「連続8時間以上」を原則としています。
拘束時間との関係が重要で、「拘束時間は原則として13時間以内」ですのでこのような関係が成り立ちます。
1日は「24時間」ですので「拘束時間」との関係で休息時間が決まります。
拘束時間は前述の通り、13時間以内が原則ですので「11時間以上が休息時間の原則」となります。
以上が告示のポイントです。
まとめると告示では「拘束時間」を原則として「1日13時間以内・1か月293時間以内」で規制しています。尚、拘束時間は休憩を含む概念であることが注意です。また休息時間は業務終了後、次の業務までの自由な時間で最低でも8時間以上が継続してることが要件です。実際には拘束時間は原則として13時間以内となりますので、休息時間数は11時間以上となります。
尚、労基署調査ではもう少し突っ込んだ質問がありますので、
それは別の機会に解説をしたいと思います。
また、超重要判例と言われる「長澤運輸事件」と「ハマキョウレックス事件」という平成30年の最高裁判決はいずれも運送業の労働裁判ですが、全ての企業にとって関連する判例ですので、こちらも後日解説予定です。