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 【常時30人未満の小売業、旅館、料理店および飲食店は、1週間単位の非定型的変形労働制の意義】

 いわゆる「1週間単位の非定型変形労働時間制度」ですが小規模の小売業、宿泊施設、飲食業等で常時30人未満の事業場で導入できる変形労働時間制です。週休2日以上が確保できるならばとても有利な制度です。

 本稿では、1週間単位の非定型型変形労働時間制の制度説明をおこないます。

 当事務所では飲食店、宿泊施設のクライアント企業が比較的多い事もありショートタイマーを雇用している企業では有効性が高い制度であると思います。

 [索引]

 1.制度概要・・・

 2.導入プロセス・・・

 3.導入するメリット&実例・・・

 4.導入時に注意点・・・

 5.規定例・・・

 

 1.制度概要

 小売業、旅館、料理店および飲食業の事業場で、常時使用する労働者数が30人未満である場合には、労使協定を締結することで、1週間40時間の範囲内で、労働者を1日10時間まで労働させる事ができます。

 そうなんです。1日8時間を超えても1週間が40時間以内であれば割増賃金が不要になります。

学生アルバイトやフリーターを活用している店舗ではとても有用な仕組みですね。

 例)1日実働10時間勤務のAさんが週4日勤務した場合 「10時間×4日=40時間」

 この場合に一日、8時間を超えている日も「時間外労働にならず割増賃金も発生しない」

 [所定労働時間の特定は1週間ごとにおこなう]

​ この制度を導入するメリットは上記以外に、日ごとの業務に著しい繁閑が発生する可能性があり、事前にそれを予測を立てることが難しい接客業種において、1週間単位で所定労働時間を決定することができるという柔軟性があります。予約の状況等を考慮して翌週のシフトで労働力を調整できるメリットがあります。

 [制度の導入は事業場単位でおこなう]

 こちらの制度は「事業場単位」で導入する事になります。例えば企業全体では30名を超えるような従業員数であっても各店舗ごとの所属する従業員の人数が常時30人未満であれば導入することが可能です。なので中堅企業、大企業等の多店舗経営のホテル業、飲食業、小売業などでも利用することが可能です。

 2.導入プロセス

 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用するためには労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出をおこなう事が必要です。なお労使協定のみでは「免罰効果」としての効力のみですので、労働者に対して1週間単位の非定型変形労働時間制で働かせる命令権を確保する必要があります。そのために就業規則に根拠条文を定めるか、労使協定を就業規則の一部とする旨の定めを就業規則に追加します。

 [労使協定書に定めるべき事項] 様式5号(第12条の5第4項関係)

 事業の種類、事業の名称、事業の所在地、電話番号、常時使用する労働者数

 事業の種類、該当労働者数、1週間の所定労働時間、変形労働時間制による期間

 4.導入時の留意点

 ①労働基準法第60条の年少者(満十八歳に満たない者)は本制度を導入することができませんのでご注意ください。

 ②妊産婦が請求した場合にも本制度を適用することができません。

 ③労働基準法第40条に定める

​ ④一週間で2日休日を確保する必要があります

 5.就業規則の規定例

(1週間単位の非定型型的変形労働時間制)

 第●条

 会社は従業員に対し、当該事業場に従業員の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合,従業 

 員の過半数で組織する労働組合がない場合には従業員の過半数を代表する者と,次に定める労使協定を締結

 し、1週間単位の非定型的労働時間制により労働をさせるものとする。

 ①対象となる労働者の範囲

 ②1週間の所定労働時間は40時間以内とし、各従業員の1日の所定労働時間は10時間以内とする定め

2.前項の1週間は日曜日から土曜日とする。

3.1週間の各従業員の所定労働時間、始業および終業の時刻、休憩時間は毎週木曜日までに次の1週間分について書面により各従業員に対して通知する。

4.前項の各従業員の所定労働時間等の決定に際し、希望のある従業員は毎週月曜日までに所定の方法で所属長に対して申し出をおこなうものとする。

5.第1項の場合における休憩時間は、1日の労働時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間とする。

6.会社は緊急やむを得ない事由がある場合には前3項で定めた所定労働時間を前日までに変更できるものとする。

7.1項の場合における休日は1週間2日とし、会社は1か月前までに特定して従業員に通知する。

8.第一項に定める労使協定は本就業規則の一部とし本就業規則に定めのない事項は、労使協定の定めによる。

 

 

 

 

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