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 <相談事例1> 無断欠勤の従業員への対応 連絡が取れないのは実は「精神疾患」、「体調不良」等で連絡が出来なかったケースも 

 無断欠勤・無断遅刻等をおこなう従業員の対応について解説します。

 当事務所の経験則では、労務管理が優れている会社でも、無断欠勤をする従業員が一定割合で発生してきました。

 このようなケースをひも解くと、単純な職務懈怠で無断欠勤をしているケースは稀で、体調面に起因しているケースが多い事にも注意が必要です。

 単に「不真面目」、「怪しからん」、「懲戒だ」と安易に片付けてしまうと、会社側が大きなリスクに陥る可能性があるので十分に注意が必要で

 す。 実際に事務所のクライアントで、幾度か発生した事案を紹介します。

 尚、当事務所では様々なリアルな事例があり、現実的かつリスクの低いアドバイスを常に心がけています。都度、労働裁判に精通する顧問弁護士の

 見解もあわせてお伝えし、法的視点を慎重に検討した上で、ケースに応じて「カウンセリング手法」等を織り交ぜながら、ご本人とのやり取り上の

 注意点も踏まえた、実務的な助言を心がけています。

  

 [突然の無断欠勤が発生した場合]

 1.まずは携帯電話、自宅電話等に連絡を入れてみる (連絡日時 方法等を記録しておく)

 その際に留守番電話等にもメッセージを残したり、メール等を送る事も有効だが、この段階では「理由の確認」と「出勤命令」程度にとどめるの

 が、望ましいと考えます。あくまで安否確認が第一の目的です。

 対応上の配慮としては必ずしも、直属の上司が連絡をしない方が良いケースもあります。(ハラスメントが生じていた事案もあるため)

 2.安否確認のために早めに自宅訪問をおこなう (訪問日時等を記録しておく)

 居留守の場合、面会拒否の場合にはお手紙やメッセージを残す事も考えれるが、この段階でも「理由の確認」と「出勤命令」程度にとどめるのが、

 望ましいと考えます。あくまで安否確認が第一の目的です。幸いにコンタクトが取れた場合にも、直ちに叱責等をおこなうのではなく、何が理由で

 無断欠勤の状態に至るのか確認をすることが第一です。ご本人とのやり取りは正確に記録をし、退職の意思表示等があった場合には「退職願い」等

 を記載して頂く事も重要です。

 3.連絡が取れない状況が続いている場合

 身元保証人等が分かる場合には、必ず、身元保証人にも連絡を入れる。(連絡日時等、やりとりを記録しておく)

 依然、安否が不明な場合には身元保証人に警察への届出も含めて検討する。安否が判明した場合には、身元保証人を通じて本人に、出勤督促を伝え

 る又は、体調面の問題の場合には、休職制度を利用するか等を確認する。退職願いを身元保証人に渡すという対応を取るケースも考え方れます。

 4.連絡も取れず退職の意思確認も取れない場合 

  就業規則に一定期間連絡が無く、会社も本人の居場所が分からない場合に「黙示の退職の意思表示」があったものとみなす

 という条文がある就業規則をみることがあります。危険回避的な条文で無いよりはあった方が良いですが、絶対に定めがあるのでそのように取り扱

 って問題無いという事ではないことにご注意ください。期間も14日等では短すぎるという解釈が多く、当事務所では50日程度様子を見る事が望まし

 いと伝えてます。  

 

 [無断欠勤に至っている原因は体調面の可能性もある]

 1.自宅等で病気等で連絡ができない程に体調を崩している。それ以上の最悪のケースも想定して安否確認を急ぐ

 (過去に心筋梗塞で倒れていたケースも有)

 2.何等かの事故、犯罪に等に巻き込まれた可能性も視野に入れる

 3.体調不良の場合には「休職発令」も検討しつつ、解雇ありきでは無く、会社のリスク管理にために状況を見極める事が大切

 [過去に実際にあった事案]

 過去に突然の無断欠勤。連絡が無く、事業主が自宅訪問をすると、連絡が出来なくなった理由が、「精神疾患」のケースがありました。

 発症の経緯が業務上認められた場合には、療養中は解雇制限がかかる可能性も頭に入れておく必要があります。

 実際にあった件では、私傷病という事で休職発令の後に、休職期間満了の自然退職という就業規則の定めにより退職扱いとなりました。

 [補足 労基署の解雇予告除外認定] 

 労基署で認定を受ける事ができる「解雇予告除外認定」は14日以上の行方不明で出勤督促に応じない場合 です。

 前述の連絡の記録、安否確認、事故の可能性等も確認されることとなります。

 尚、解雇予告除外認定は得られても「解雇予告手当の支払いを免れる」に過ぎず、解雇の有効性が認められたわけではありません。

 この点にもご注意ください。

 [まとめ]

 

 当事務所では「①にまずは連絡」、「②訪問・お手紙」、「③身元保証人」のプロセスで無断欠勤の理由と安否確認を第一に、状況を見極めて、

「出勤督促」や「休職発令」、「合意退職」等をアドバイスしています。その後に正確な状況把握の上で、あくまで懲戒解雇を含めて解雇は最終手段

 とお伝えしています。

 記事作成当時:平成30年11月初旬

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