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「平成30年度 渋谷労働基準監督署の行政運営資料」を読み解く


こんにちはCo.Co.Labo経営・社労士事務所の阿久澤です。

労働基準監督署は「所轄」と呼ばれる担当区域が決まっています。

当事務所のある渋谷区代々木は、渋谷労働基準監督署が所轄になります。渋谷区に加えて世田谷区も渋谷労働基準監督署の管内になります。

2年ほど前から、各労働基準監督署ごとに「行政運営」という資料を各監督署が作成していて、この資料には役立つ情報が多数掲載されています。東京労働局版等も作成されています。

以下 「平成30年度 渋谷労働基準監督署の行政運営」より引用

統計データに対して考察を加えると

[管内概況]

渋谷区・世田谷区の適用事業場数 5.8万 

労働者数は約79万人 

第3次産業の割合 91.5% 

渋谷駅を中心に小売、飲食、娯楽、原宿駅を中心にアパレル産業が集積

IT関連、派遣業、放送業も多い

世田谷区は、小売業、飲食業、学校、理美容業、社会福祉施設等の生活関連産業が集積

→この産業構造は当事務所の渋谷エリアの顧問先企業の業種とほぼ同じです。

[定期監督等における主要違反事項]より上位を抜粋

1. 28.6%安全基準

→3次産業が圧倒的なこの所轄内で安全基準が1位の違反率なのは、当事務所の見解では渋谷駅周辺の再開発と国立競技場の工事等に伴う建設現場で違反が生じているものと推察しています

2. 22.0%労働時間

→飲食業、IT関連企業等の元々、長時間労働が多い産業構造で人手不足も重なり、36協定書の限度時間超過が生じているものと推察されます。

3. 21.4%割増賃金

→全国平均の違反率よりも高いが、この理由は業種柄では無いかと推察しています。

サービス業種では、割増賃金違反がそもそも多く、IT関連では裁量労働制の制度不理解により、休日割増と深夜割増の不足が生じていることが多いです。

アパレルでもデザイナー職は裁量労働が適用されていることが多いので、同様の事情が発生しているものと推察しています。

次点の「賃金台帳」の違反も、結果として割増賃金の違反に連動しているケースが多いです。

4. 14.1%賃金台帳

→「賃金台帳の違反は調整していないか、記載内容に不足があるか」です。

小規模のサービス業も多い事から、賃金台帳を作成していなかったり、不完全な記載になっているものと推察しています。

5. 13.2%健康診断

→こちらも産業構造が大きく関係していると推察しています。

サービス業では多くの、非正規雇用、アルバイト等が雇用されていますが、非正規雇用でも、

1年以上の雇用見込みがあり、正社員の所定労働時間の3/4以上勤務する者は健康診断の実施が義務付けられていますが、この仕組みを不理解のまま違反になってしまうケースが生じる事が多いです。

[平成30年度の重点実施事項] こちらについては他の労基署と概ね同じ内容でした

1. 働き方改革の推進に向けた労働時間に関する法制度の周知徹底を図る

2. 長時間労働の抑制、過重労働による健康障害防止対策を進める

3. 労働条件の確保・改善対策の推進を図る

4. 労働者の安全と健康確保対策を進める

5. 最低賃金の周知と履行確保

6. 労災補償対策の推進

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