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労務費の来期の予算編成の相談を受けました。(働き方改革も踏まえての説明)


東京・渋谷区代々木(新宿駅南口)のCo.Co.Labo経営・社労士事務所です。

当事務所は「法令面」と「経営面」の両面からクライアント企業の人事労務管理を支援する社労士事務所です。

来年から施行される「働き方改革」については施行が迫っていることもあり公開情報が増えてきました。当事務所では、この時期、経営者様、経営企画部、人事部長様から労務費に関連する予算編成について助言を求められる事が多く、その観点で解説ブログを書きましたので、どうぞご覧ください。

労務周りの法律改正の対応は、短期的には「コスト増」になることが現実的には多いものと思います。働き方改革を実践していく過程で、生産性が向上すれば業務の効率性が高まりコストが下がるのは、少し先の話で、当面はコスト増になるのではないかという見方をしています

毎年、この時期になるとクライアント企業様から来期の労務費の予測を立てる関係で、相談に乗って欲しいと言われる機会があります。そこでは以下のような話をしています。

まず以下の項目に沿って必要な予算を割り出します。その上で来年(平成31年)より施行される働き方改革の対応に関連する予算を考慮する必要が本年についてはあります。

また中期経営計画を立てている企業では、「通常3年~5年間」のスパンで経営計画を立てますので、

通常、中期経営計画は、外部環境の変化が発生する都度、計画に修正をかけている企業が多いと思います。働き方改革関連の法律改正は多段階なので、施行スケジュールと取組内容から発生するコストを見越して、予算編成をしていく必要があろうかと思います。

とりわけ当事務所のクライアント層に多い、IPO(上場準備企業)では上場審査において、事業計画(予定)と実績の予実の正確性が、ここ数年、審査で重要視されているそうです。

以下の要素をご覧頂き、来期の予算編成及び中期経営計画の見直しにお役立てください。

1.来期の要員計画は次の項目で整理をしてください

(ア)新卒枠での新入社員の採用予定人数

(イ)中途採用での採用予定人数

(ウ)中途退職が発生した場合に都度、追加募集をおこなう場合には過去の実績等からの追加募集人数

2.昇給に伴う人件費

(ア)財務的アプローチの方法は多数ありますが、予算編成上は過去実績を用いる事が一般的です

(イ)毎年10月の最低賃金上昇分を織り込む

3.賞与支払いに伴う人件費

4.社会保険料・労働保険料等の法定福利費

(ア)社会保険料の保険料率改定に伴う会社負担の保険料の見込み、労働保険料の見込み

 ※期中に保険料が上がる事が一般的ですので、少しバッファーを持たせます。

(イ)賞与支払いに伴う法定福利費

5.福利厚生費・退職金

6.教育訓練(研修)に要する費用

(ア)新入社員研修に要する費用

(イ)研修費以外に必要となるテキスト、マニュアル作成等に要する費用

7.採用募集にかかる費用

(ア)採用募集広告等の掲載費用

(イ)人材紹介会社に支払う手数料

(ウ)会社合同説明会・会社説明会等の実施費用

(エ)適性検査等採用試験に要する費用

8.直接雇用で人材確保が難しい又は、直雇用をおこわないケースでは派遣労働者に係る費用として「派遣料」を見込みます

9.委託料・外注費

各クライアント企業様ごとの会計基準で異なりますが、直接雇用では無く、業務委託、外注等を利用する場合いは、その予算分を織り込みます。

10.働き方改革関連の予算計上

 人事労務に関連する予算として本年は大きく、考慮すべき点は「働き方改革」に伴う予算計上です。労務費に直接影響のある改正事項としては、以下の3点が大きなところですが施行スケジュールが企業規模により異なりますので、その点にご留意頂く必要があります。

「①年次有給休暇の確実な取得」

この改正は2019年4月から施行されますが、「10日以上の年次有給休暇」の労働者に対しては、うち5日については必ず取得をさせる必要があります。

「②時間外労働の規制」については企業規模により施行日が、2019年4月(大企業の場合)と2020年4月(中小企業の場合)で異なりますので、その点にご留意を頂き予算編成をおこなう必要があります。

・1か月の時間外労働は原則として100時間未満(休日労働を含む)

・1年間の時間外労働は720時間未満(休日労働を含む)

・「2か月~6カ月」の複数月平均で

「③中小企業が月60時間を超えて時間外労働をおこなった場合の時間外労働の割増率5割」

経過措置となっていた事項ですが正式に2023年4月より施行となることが決まりました。施行は少し先となりますが、中期経営計画では影響の大きい改正だと思います。

「④同一労働・同一賃金法の施行」

大企業は2020年4月から中小企業は2021年4月からの改正です。

正規雇用と非正規雇用の仕事の内容が同一であったり、差がさほど無い場合に処遇差が妥当な否かを点検していく必要があります。

当事務所の見解としましては、以下の点が予算編成で重要な点だと思います。

①年次有給休暇の確実な取得は、サービス業等では直接的な人件費の負担増となる

②時間外労働の規制は、新規制の枠内で抑えるために要員計画を見直し、人員を新規に採用したり、業務改善、設備投資等により省力化を進める必要がある。更に時間管理の方法をアナログでおこなうのは新規制に適合させるためには、手間がかかるので、勤怠システムの新規導入等を図る企業も多く、この点も予算計上しておくべきかと思います。

③中小企業の割増賃金の引上げ

60時間を超える残業自体が、時間外労働の制限の中で、少なくなる傾向もあろうかと思いますが、人材確保が難しい局面ですので、限度時間いっぱいまで働かせざる負えない中小企業も生じてくるのではないかと思います。施行まで4年半ほどありますが、中期経営計画では重要な法律改正だと思います。

以上、予算編成の観点で見た、働き方改革の解説とコストの整理でした。

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